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インドネシア人介護士が介護施設で人気の理由

Ayu Andriyani
24 minutes ago
20 min read

日本では高齢化が進み、介護を必要とする人が増える一方で、介護現場で働く人材の確保が大きな課題になっています。

厚生労働省によると、2024年10月時点の介護職員数は2,126,227人でした。一方、第9期介護保険事業計画では、2026年度に約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要になると推計されています。

つまり、日本人だけで必要な介護人材を確保することが難しくなっており、外国人介護人材の重要性は以前よりも高まっています。

外国人介護人材というと、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、ネパールなど様々な国籍があります。その中でも近年、特に存在感を高めているのがインドネシア人です。

2026年2月末時点で、介護分野の特定技能協議会に登録されている外国人34,946人のうち、インドネシア人は9,931人で28.4%を占めています。国籍別では最も多くなっています。

さらにEPAによる介護福祉士候補者についても、インドネシア人は毎年ほぼ受入れ上限までマッチングが成立しています。

なぜ、日本の介護施設でインドネシア人介護士がこれほど増えているのでしょうか。

「インドネシア人は優しいから」「高齢者を大切にする文化だから」と説明されることもあります。しかし、実際にはそれだけではありません。

日本とインドネシアの間には2008年から続く介護人材受入れの歴史があり、教育制度、送り出し体制、日本語教育、政府間協力、介護施設側の受入れ経験など、長い時間をかけて人材供給の仕組みそのものが形成されてきました。

本記事では、インドネシア人介護士が日本の介護施設で増えている背景と、実際に介護施設側から選ばれている理由について詳しく解説します。



日本の介護業界では人材不足が長期的な問題になっている

日本の介護業界で外国人材が求められる背景

2024年時点でも介護職員は約213万人

まず理解しておく必要があるのは、外国人介護士が増えている最大の背景には、日本の介護業界そのものの人材不足があるということです。

厚生労働省によると、2024年10月時点の介護職員数は2,126,227人でした。

前年からは487人増加したものの、ほぼ横ばいです。

一方で、高齢者人口の増加によって介護サービスの需要は今後も増えていきます。

厚生労働省が都道府県の介護サービス需要を基にまとめた推計では、必要な介護職員数は2026年度に約240万人、2040年度には約272万人になるとされています。

2024年時点の約213万人と比較すると、単純計算では2040年までにさらに約59万人規模の人材を確保する必要があります。

もちろん、これは「現在59万人不足している」という意味ではありません。

今後増えていく介護需要に対応するため、それだけ人材供給を増やさなければならないということです。

日本人だけを採用するモデルでは限界がある

介護業界では、単純に求人広告を増やせば人材を確保できるわけではありません。

日本全体で生産年齢人口が減少しているため、介護施設だけでなく、製造、物流、建設、宿泊、飲食など、多くの産業が同じ若年労働者を取り合っています。

さらに介護職には、身体介護、夜勤、認知症対応、利用者とのコミュニケーション、記録業務なども必要です。

人材不足を理由に誰でも採用すればいい仕事ではありません。

だからこそ、日本の介護業界では、

外国人を単なる人手不足対策として採用するのではなく、介護を専門職として学び、長期的に成長してもらう仕組み

が重要になっています。

その中で大きな存在になっているのがインドネシア人介護人材です。



インドネシア人はすでに介護分野の最大グループの1つになっている

インドネシア人はすでに介護分野の最大グループの1つになっている

特定技能介護ではインドネシア人が28.4%

インドネシア人介護士が「人気」と言われる理由を考えるうえで、まず確認したいのが実際の人数です。

2026年2月28日時点の介護分野における特定技能協議会の登録外国人数は34,946人でした。

国籍別では次のようになっています。

国籍

登録人数

割合

インドネシア

9,931人

28.4%

ミャンマー

8,778人

25.1%

ベトナム

7,301人

20.9%

フィリピン

3,432人

9.8%

ネパール

2,899人

8.3%

その他

2,605人

7.5%

合計

34,946人

100%

インドネシア人だけで約3割です。

しかも単に人数が多いというだけではありません。

インドネシアにはEPA、技能実習、特定技能、そして介護福祉士資格取得後の在留資格「介護」など、複数のルートを通じて日本で働いてきた人材がいます。

そのため、介護施設側から見ても「インドネシア人を初めて採用する」というケースばかりではなくなっています。

すでに同じ法人の別施設で働いている、知り合いの施設が採用している、先輩インドネシア人がいる、といった状態が生まれています。

人材採用では、この「すでに受入れ実績がある」ということが非常に重要です。



理由1:日本とインドネシアには約20年に近い介護人材交流の歴史がある

インドネシアからのEPA受入れは2008年に始まった

インドネシア人介護士の大きな特徴は、日本の外国人介護人材の中でも比較的長い受入れ実績があることです。

日本は2008年度から、日本・インドネシア経済連携協定に基づいて、インドネシア人の看護師・介護福祉士候補者を受け入れてきました。

フィリピンは2009年度、ベトナムは2014年度からです。

つまりインドネシアは、外国人介護人材を制度的に受け入れてきた国として、日本にとって最も長い関係を持つ国の1つです。

2026年度来日者向けの国際厚生事業団資料では、それまでに来日したインドネシア人EPA候補者は4,259人、そのうち介護福祉士候補者は3,491人とされています。

これは非常に大きな蓄積です。

人材だけではなく「受け入れる側」にも経験が蓄積された

外国人採用では、人材本人の能力だけを見ても十分ではありません。

施設側にも経験が必要です。

例えば、

日本語をどのように教えるのか。

介護記録をどのように理解してもらうのか。

宗教や食事について何を配慮すればいいのか。

住居や銀行口座、携帯電話の契約をどう支援するのか。

日本人スタッフと外国人スタッフの間で問題が起きた場合にどう対応するのか。

介護福祉士国家試験の勉強時間をどう確保するのか。

こうしたノウハウは、一度外国人を採用した施設では次の外国人を採用するときにも活用できます。

約20年に近いEPAの歴史によって、インドネシア人を受け入れた経験を持つ介護法人が日本国内に増えてきました。

結果として、

インドネシア人を採用する↓受入れノウハウが蓄積される↓先輩インドネシア人が新人を支援する↓さらにインドネシア人を採用しやすくなる

という循環が生まれています。


理由2:EPAでは一定の教育を受けた人材が送り出されている

インドネシア人なら誰でもEPAで介護職になれるわけではない

「外国人介護士」と聞くと、日本に来てからゼロから介護を学ぶイメージを持つ人もいるかもしれません。

しかし、少なくともEPAのインドネシア人介護福祉士候補者については、一定の学歴・教育要件があります。

2026年度のEPA受入れ資料では、インドネシア人候補者について、

「3年以上の高等教育機関卒業+インドネシア政府による介護士認定」

または、

「インドネシアの看護学校を3年以上修了」

という条件が設定されています。

つまりEPAルートでは、一定の医療・介護教育を受けた人材が日本の介護現場に入ってきます。

これが介護施設にとって安心材料の1つになります。

日本語も就労前から勉強する

介護では日本語が非常に重要です。

工場の仕事であれば、決められた工程を繰り返す仕事もありますが、介護では利用者の体調や感情を理解しなければなりません。

「痛い」

「苦しい」

「今日は食欲がない」

「トイレに行きたい」

といった日常的な会話だけではなく、認知症の高齢者とのコミュニケーション、介護記録、申し送り、看護師との連携なども必要です。

EPAのインドネシア人候補者は入国時にN4程度以上、就労時にはN3程度以上の日本語能力が求められます。

さらに訪日前、訪日後にも日本語研修が行われます。

もちろんN3だから介護現場で完璧にコミュニケーションできるわけではありません。

方言、高齢者特有の話し方、介護専門用語、薬の名称などは、日本に来てからも継続して学ぶ必要があります。

それでも、一定の日本語教育を経てから現場に入る仕組みがあることは、受入れ施設にとって大きなメリットです。


理由3:介護施設側からの需要が実際に強い

EPAでは3年連続でほぼ上限までマッチング

インドネシア人介護士が人気なのかどうかを判断するうえで興味深いデータがあります。

EPA介護福祉士候補者について、インドネシアでは2023年度から2025年度まで毎年ほぼ300人のマッチングが成立しています。

年度

求人数

求職者数

成立数

2023年度

531人

370人

300人

2024年度

476人

419人

300人

2025年度

502人

432人

301人

EPAでは2023~2025年度の介護福祉士候補者について、原則として各国年間300人が受入れ上限とされていました。

インドネシアはその上限付近までマッチングが続いています。

さらに2025年度を見ると、432人のインドネシア人求職者に対して502人分の求人がありました。

候補者数より求人側の需要のほうが大きかったことになります。

これは「インドネシア人は人気らしい」というイメージではなく、実際に介護施設側から一定以上の需要が存在していることを示す数字です。


理由4:日本の介護施設にとって人材を継続的に確保しやすい

インドネシアには若い人口が多い

インドネシアの大きな強みは人口規模です。

インドネシア中央統計庁によると、2025年の人口は約2億8,467万人です。

その中で20~24歳は約2,215万人、25~29歳は約2,251万人います。

20代だけでも4,400万人を超えます。

日本の介護施設にとって重要なのは、「今年10人採用できるか」だけではありません。

5年後、10年後も人材を確保できる市場なのかという点です。

その意味で、若年人口が非常に大きいインドネシアは長期的な採用市場として魅力があります。

介護以外でも日本就労のルートが広がっている

インドネシアから日本に来る人材は介護だけではありません。

製造業、外食、宿泊、農業、建設など、多くの分野で技能実習や特定技能による就労が進んでいます。

その結果、インドネシア国内にも日本語学校、職業訓練機関、送り出し機関、日本就職を支援する教育機関などが増えています。

これは介護業界にとっても重要です。

日本語教育や日本文化教育をゼロから構築しなくても、日本就職を前提とした教育インフラを活用できるからです。


理由5:日本とインドネシア政府が介護人材育成を強化している

2025年からJICAとインドネシア保健省が介護人材育成プロジェクトを開始

インドネシア人介護士が今後さらに増える可能性を考えるうえで重要なのが、政府間の人材育成です。

2025年4月、JICAとインドネシア保健省は「介護人材能力強化プロジェクト」を開始しました。

期間は2025年4月から2028年4月までの3年間です。

ジャカルタ、ランプン、ロンボクなどにある4つの保健ポリテクニックがパイロット校となり、日本式の介護、日本文化、日本語などを含む教材や教育モジュールの開発が進められています。

これは単純な日本向け労働者の送り出し事業ではありません。

インドネシア自身も将来的に高齢化が進むため、国内の介護人材育成にもつながるプロジェクトです。

一方、日本側から見れば、日本式介護について現地教育を受けた人材が増える可能性があります。

「来日してから育てる」から「現地から育てる」へ

これまでの外国人採用では、

日本語学校で日本語を学ぶ↓日本へ行く↓日本で初めて介護を学ぶ

という形になることも珍しくありませんでした。

しかし今後は、

インドネシア国内で介護を学ぶ↓日本語と日本文化を学ぶ↓介護施設とマッチングする↓日本で実務経験を積む↓介護福祉士を目指す

という流れが強くなる可能性があります。

施設側にとっては、入社してからすべて教える必要がなくなるため、教育負担を減らせる可能性があります。


理由6:介護福祉士という長期的なキャリアを作れる

特定技能1号だけで終わる必要はない

介護分野で働く外国人には、現在大きくEPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能という複数の制度があります。

特定技能1号には基本的に在留期間の上限があります。

しかし介護福祉士国家資格を取得すれば、在留資格「介護」へ移行することができます。

在留資格「介護」は更新回数に原則として上限がなく、条件を満たせば日本で長期間働くことが可能です。

つまり介護施設にとっては、

外国人を数年間の一時的な労働力として採用する

だけではなく、

将来的な介護福祉士、リーダー、外国人スタッフの教育担当者として育成する

という選択肢があります。

先輩インドネシア人が新人を育てる仕組みも作れる

外国人採用が1人だけの場合、その人が困ったときに相談できる相手が限られます。

しかし同じ国籍の先輩がいると状況は変わります。

日本語では理解しにくい介護用語をインドネシア語で説明する。

日本の職場文化について説明する。

住民登録や銀行口座など生活面をサポートする。

ラマダンや礼拝について日本人管理者と調整する。

こうした役割を先輩社員が担えるようになります。

数年間働いたインドネシア人が次のインドネシア人を育てる仕組みができると、施設側の教育負担も徐々に軽くなります。

外国人採用は人数が増えるほど難しくなる側面もありますが、一定規模を超えると逆に外国人同士で支え合える組織を作りやすくなるという面もあります。


理由7:外国人採用が日本人職員の教育にもつながる

「外国人に伝わる説明」は日本人にも分かりやすい

外国人スタッフを採用すると、日本人管理者は仕事の説明方法を見直さなければなりません。

例えば、

「いつもの感じでやって」

「適当に確認しておいて」

「前と同じように対応して」

という指示は、日本人同士では通じることがあります。

しかし外国人には非常に分かりにくい表現です。

誰が、いつ、何を、どの順番で、どこまで行うのかを明確にする必要があります。

実はこれは外国人のためだけではありません。

新人の日本人職員にとっても分かりやすいマニュアルになります。

国際厚生事業団もEPA候補者受入れによって期待される効果として、外国人材の受入れノウハウの蓄積、日本人職員の異文化理解、チームビルディング、職員の指導力向上などを挙げています。

外国人を採用した結果、曖昧だった業務手順が整理されることもあるわけです。



「インドネシア人は優しいから介護に向いている」は本当なのか

国籍だけで性格を判断するのは危険

インドネシア人介護士について調べると、

「明るい」

「優しい」

「高齢者を大切にする」

「素直」

「家族を大事にする」

「ホスピタリティが高い」

といった説明を見かけることがあります。

実際にそのような印象を持つ介護施設もあるでしょう。

しかし、ここは少し慎重に考える必要があります。

インドネシアの人口は約2億8,500万人です。

ジャワ人、スンダ人、バリ人、バタック人、ミナンカバウ人など多様な民族がおり、宗教、地域、家庭環境、教育、性格も大きく異なります。

「インドネシア人だから高齢者に優しい」と国籍だけで判断するのは適切ではありません。

日本人にも介護に向いている人と向いていない人がいるように、インドネシア人も同じです。

人気の本質は「国民性」より「人材供給システム」

むしろ重要なのは、

長年のEPA実績があること。

日本語教育の仕組みがあること。

介護や看護の教育を受けた人材がいること。

若い労働人口が多いこと。

インドネシア政府も海外介護人材育成を進めていること。

日本側にも受入れ経験が蓄積していること。

すでに日本で働くインドネシア人のコミュニティが形成され始めていること。

こうした要素です。

つまりインドネシア人介護士が増えている理由を「性格がいいから」と説明するよりも、介護人材を継続的に育成・採用できるエコシステムが形成されてきたから、と考えたほうが実態に近いでしょう。



フィリピン・ベトナム・ミャンマーと比べて何が違うのか

フィリピン・ベトナム・ミャンマーと比べて何が違うのか

インドネシアだけが優れているわけではない

ここも誤解しやすいポイントです。

インドネシア人介護士が増えているからといって、他国の人材より優れていると単純に比較することはできません。

例えばフィリピンは英語力や看護教育の強さを持っています。

ベトナムも長年、日本向け技能実習・特定技能人材を大量に送り出してきました。

ミャンマーは近年、特定技能介護で急速に人数を増やしており、2026年2月時点の介護分野の登録人数は8,778人でインドネシアに次ぐ規模になっています。

国によって人材市場の特徴が違うのです。

インドネシアの強みはバランスにある

インドネシアの特徴は、何か1つが突出しているというより、

人口規模が大きい。

若者が多い。

EPAの歴史が長い。

介護・看護教育を受けた人材がいる。

特定技能の人数が増えている。

日本政府との制度的な関係がある。

インドネシア政府も日本への人材送り出しに積極的である。

現地での介護教育も強化され始めている。

という複数の条件がそろっていることです。

介護施設側にとっては、この「安定した人材供給が期待できること」が非常に重要です。



インドネシア人介護士を採用すれば必ずうまくいくわけではない

インドネシア人介護士を採用すれば必ずうまくいくわけではない

最大の課題はやはり日本語

外国人介護人材の採用で最も注意しなければならないのは、日本語です。

試験に合格していることと、介護現場で十分にコミュニケーションできることは別です。

特に難しいのが高齢者との会話です。

高齢者は教科書通りの日本語を話すとは限りません。

地方では方言もあります。

声が小さい利用者もいます。

認知症によって言葉が不明瞭になることもあります。

利用者の小さな変化を聞き取り、看護師や他の介護職員へ正確に伝える必要もあります。

そのため、採用時のJLPTだけを見て判断するのではなく、入社後も介護日本語を継続的に教育する必要があります。

宗教への配慮も必要

インドネシア人の多くはイスラム教徒です。

ただし、インドネシア人全員がイスラム教徒ではありませんし、イスラム教徒でも宗教習慣の実践方法には個人差があります。

施設側では本人と話し合ったうえで、礼拝、食事、ラマダンなどについて必要な配慮を確認することが重要です。

例えば豚肉を食べない職員であれば、職員食の原材料を確認できるようにする。

礼拝を希望する場合には、業務に支障のない時間帯と場所を相談する。

ラマダン中の断食についても、夜勤や身体介護とのバランスを本人と確認する。

大切なのは、「イスラム教だから特別扱いする」という考え方ではありません。

日本人職員についても家庭事情や健康状態に応じた働き方を考えるのと同じように、働きやすい環境を設計することです。

外国人だけに我慢を求める施設では定着しない

外国人を採用するとき、

「日本に来たのだから日本のやり方に合わせるべき」

という考えだけで運営すると、長期定着は難しくなります。

外国人側も日本語や日本文化を学ぶ必要があります。

しかし施設側も、外国人が理解しやすい業務マニュアル、生活支援、相談体制、キャリアプランなどを用意する必要があります。

これから外国人材の採用競争が進めば、外国人も勤務先を選ぶようになります。

採用できる施設と採用できない施設の差よりも、

採用した外国人が長く残る施設と辞めていく施設の差

のほうが大きな経営課題になる可能性があります。



介護施設がインドネシア人材を採用するときに考えるべきこと

介護施設がインドネシア人材を採用するときに考えるべきこと

インドネシア人だから採用する、という考え方だけでは十分ではありません。

重要なのは採用から5年後までを設計することです。

最初の1年間は日本語と仕事を覚える期間になります。

2~3年目には自立して介護業務を担当できるようになります。

その後、介護福祉士国家試験を目指す人も出てきます。

さらに経験を積んだ人には、新しく入ってきた外国人職員の教育担当やチームリーダーを任せることも考えられます。

つまり、

「外国人を何人採用するか」

だけではなく、

「5年後にどのような人材になってもらいたいか」

まで考えて採用することが重要です。

これは日本人採用でも本来は同じですが、人手不足が深刻になると、どうしても人数を確保することが目的になってしまいます。

外国人採用でもこの失敗を繰り返してはいけません。



2025年以降は外国人介護士ができる仕事の範囲も広がっている

外国人介護人材を巡る制度も変化しています。

2025年4月からは、一定の要件を満たす技能実習生や特定技能外国人について、訪問介護などの訪問系サービスへの従事も認められるようになりました。

従来は外国人介護人材の多くが施設系サービスを中心に働いていました。

しかし日本では、特別養護老人ホームや介護老人保健施設だけでなく、訪問介護でも深刻な人材不足が発生しています。

制度変更によって外国人介護人材の活躍できる場所が広がったことは、今後のキャリア形成にとっても重要です。

もちろん、誰でもすぐに1人で利用者宅を訪問できるわけではありません。

一定の研修、実務経験、同行訪問、利用者や家族への説明、緊急時対応、ICT環境など、複数の条件が設定されています。

介護という仕事が単なる施設内の補助作業ではなく、外国人も専門職としてより広い業務を担う方向へ変わりつつあると言えるでしょう。



今後インドネシア人介護士はさらに増えるのか

現在の状況を見る限り、日本の介護現場でインドネシア人の存在感は今後もしばらく大きくなる可能性があります。

理由は単純です。

日本では介護人材が必要になる。

インドネシアには若い人材が多い。

すでに日本語教育・送り出しの仕組みがある。

EPAで約20年の実績がある。

特定技能介護でも最大規模の国籍になっている。

さらに日本とインドネシアの政府間で介護人材教育が強化されている。

これらが同時に進んでいるためです。

ただし、日本がいつまでも外国人から選ばれる国である保証はありません。

インドネシア人介護人材には、日本以外にもシンガポール、台湾、中東、欧州など海外で働く選択肢があります。

インドネシア国内の賃金も長期的には上昇していきます。

日本の円安や生活費の上昇も、外国人から見た日本就職の魅力に影響します。

「外国人なら日本に来たがる」という考え方は、今後ますます通用しなくなるでしょう。



まとめ:インドネシア人介護士の人気は「国民性」ではなく長年作られてきた仕組みにある

インドネシア人介護士が日本の介護施設で増えている背景を見ると、単純に「インドネシア人は介護に向いているから」という話ではないことが分かります。

2026年2月末時点では、介護分野の特定技能協議会に登録された外国人のうち、インドネシア人が9,931人、28.4%を占め、国籍別で最大になっています。

EPAでも、インドネシア人介護福祉士候補者は近年、毎年ほぼ年間受入れ上限までマッチングされています。

その背景には、2008年から続くEPAの受入れ実績があります。

そして現在では、特定技能、日本語教育、介護教育、送り出し機関、日本国内の受入れ施設、先輩インドネシア人介護士などを含む大きな人材供給のネットワークが形成されています。

2025年にはJICAとインドネシア保健省による介護人材能力強化プロジェクトも始まりました。

これからは、日本へ来てから介護を教えるだけではなく、インドネシア国内の教育段階から日本式介護を学んだ人材を育成する動きも進んでいくでしょう。

一方で、外国人採用は万能な人手不足対策ではありません。

日本語教育、生活支援、宗教への理解、介護福祉士資格取得支援、キャリア形成、外国人を指導する日本人スタッフの教育などが不十分であれば、採用しても定着しません。

これから日本の介護施設に求められるのは、

「安い外国人労働者を採用する」

という発想ではなく、

「外国人を日本人と同じ介護の専門職として育てる」

という考え方です。

インドネシア人介護士が日本の介護施設で存在感を高めている最大の理由も、民族的・文化的なイメージではなく、日本とインドネシアが長い時間をかけて介護人材の育成と受入れの仕組みを作ってきたことにあります。

そして今後、日本の介護施設がインドネシア人材を安定的に採用できるかどうかは、「日本で働きたい人がいるか」だけではなく、「日本の介護施設が外国人から働きたい職場として選ばれるか」にかかっていると言えるでしょう。





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